コラム

2025-01-15 寒い家の暖房効率を上げるには

年が明け、本格的な寒さがやってきました。
ここ数年は暖冬だと毎年のように言われてきましたが、今年は少し状況が違うようです。昨年と比べると強い寒波の影響を受けやすく、昨年の秋が暖かかったこともあり余計に寒さが厳しく感じることになりそうです。

電気代が値上がりしている昨今、暖房費をできるだけ抑えたいけれど寒いのは嫌、、、という方も多いでしょう。節約のために暖房を使わないでいると、ヒートショックなどの恐れもあります。一軒家にお住まいの方は特に、暖房効率の悪さに頭を悩ませているかもしれません。
 
冷房を常につけっぱなしにしている夏の方が、冬より電気代が高いと思われるかもしれませんが、意外なことに冬の方が電気代が高くなるということが、総務省のデータからわかっています。冬は部屋の中と外での気温差が大きく、エアコンの場合、設定室温になるまでの時間が多くかかるため、消費電力量が増えてしまう傾向にあります。

参考:
総務省統計局「家計調査(家計収支編)時系列データ(二人以上の世帯) 1.品目分類:支出金額・名目増減率・実質増減率(月・年)」

エアコンよりも石油ストーブの方がお得、体を温めるにはこたつが最強、などさまざまな説がありますが、暖房費については住んでいる部屋の広さや生活スタイル、またその時々の電気代・灯油代の変動などにもよるため一概には言えません。ここでは、お手持ちの暖房器具でいかに暖房費を節約し、効率よく温まるかを考えてみたいと思います。

◎エアコンの上手な使い方

 

一般的に、家庭で使われている暖房器具としてはエアコンが最も広く使われているものだと思います。基本的なことではありますが、エアコンの暖房効率を良くする使用方法をご紹介します。
①風向きを「下」に設定する
暖かい空気は軽く、お部屋の上部に溜まりやすいため、エアコンの風向きは「下」に設定したほうがよ早く部屋全体を暖めることができます。直接風が当たるエアコンの直下には家電を置いたり人が座らなくてよいような位置にエアコンを設置することが大切です。

②設定温度を低めにする
こたつや床暖房など他の暖房器具を併用するなら、エアコンの設定温度は20~23度程度に低く設定しましょう。当たり前のことではありますが、設定温度を1℃下げるだけで確実に電気代が節約できます。

③こまめにオンオフするか、つけっぱなしか
夏の冷房の際にもよく議論になることですが、暖房も冷房と同様、起動する時に最も多くの電力を消費します。そのため、30分以内の短時間であれば、スイッチをこまめにオンオフするよりも、つけっぱなしにした方が電気代の節約になります。部屋が暖まってきたと感じたら、エアコンを切るよりも、設定温度を下げて調整するのがおすすめです。

④定期的にフィルターを掃除する
エアコンを毎日使うなら、2週間に1回程度フィルター掃除をすると良いでしょう。フィルターが目詰まりしていると風量が落ちてしまうため、余計な電力がかかります。また、フィルターにほこりが溜まると、エアコン内部にほこりを吸い込むことになり、カビっぽいニオイの風が出てくることがあります。


⑤古いエアコンの買い替え
電気代が高いイメージのあるエアコンですが、1時間当たりの電気代は3.8~43.7円と、機種によってかなり幅があります。もし、現在お使いの暖房器具が10年以上前の古い機種であれば、最新の省エネモデルに買い換えることで電気代を節約できる可能性があります。

◎局所暖房を追加する

エアコンでリビングを暖めていても、どうしても寒くなりがちなのは洗面所やトイレ、キッチンなど、暖房が行き届かないところです。そのような場所に小さな電気ストーブやファンヒーターなどを導入することで、全体の暖房を強くするよりもコストをおさえることができます。
 
浴室の脱衣所に局所暖房を置けば、冬場の入浴や着替えもストレスなく行えるだけでなく、急激な寒暖差で血圧が乱高下するヒートショックの予防にも役立ちます。自宅で仕事をする際に足元が冷えるという場合は、電気毛布やパネルヒーターも効果的です。
 
ただし、これらの局所暖房はすぐに暖まる分電気代が高くなる傾向があります。エアコンのようにつけっぱなしにするのではなく、脱衣所を利用する時だけ、足元が冷える時だけ、など短時間の使用に留めるのが良いでしょう。


◎断熱カーテン、断熱シートを利用する

せっかく部屋を暖めても、窓から熱が逃げてしまえば暖房効率は下がってしまいます。断熱カーテンに替えるだけで、外からの冷気の流入をおさえる効果があります。夏の遮熱にも対応したカーテンなら一石二鳥です。また、窓に対して短いカーテンを使っている方は、隙間から熱が逃げてしまうので窓にあった丈のカーテンに替えることをおすすめします。
 
窓に貼るタイプの断熱シートも、外からの冷気の流入をおさえる効果があります。外からの目隠しに役立つミラータイプのものや、柄が入ったもの、熱を遮りつつ窓からの光は通すものなど、さまざまなタイプがあるので、お好みや用途に合ったものを選びましょう。

◎断熱窓、断熱リフォームを導入する


断熱シートも役立ちますが、より高い効果を求めるなら、断熱窓にするという方法もあります。断熱効果の低いアルミ製フレーム・単板ガラスの窓から、樹脂製フレームや複層ガラスなどの断熱性に優れた窓に替えることで、外気温の影響を受けにくくなり、冷暖房にかかるコストも低くおさえられます。
 
さらに暖房効率を上げたい、または古い一軒家で底冷えがひどい、という場合は思い切って断熱リフォームを検討してみましょう。築年数がたっている家はどうしても建材が歪んだりして窓や扉に隙間が生じ、隙間風が入るようになります。これではいくら暖房器具で部屋を暖めてもすぐに逃げていってしまいます。
 
断熱リフォームでは、壁や天井、床下に断熱材を入れることで、夏は涼しく、冬暖かい住宅を実現することができます。環境省による支援事業の対象にあたり補助金が出ることもありますので、ホームページなどをこまめに確認しましょう。
https://www.env.go.jp/press/press_04098.html

◎まとめ

寒い季節、なるべく暖房費をかけないで部屋を暖める方法を考えてみました。暖房器具をいくつも併用して暖めるという方法もありますが、長い目で見ると暖房器具を買い替えたり断熱リフォームを導入することも視野に入れて考えた方が良いかもしれません。
 
お住まいの築年数やお部屋の数、これからどれくらい住む予定か、予算をどれくらいかけられるか、等によってさまざまな対策が考えられますので、一度ご相談いただければと思います。