コラム

2025-01-22 地震による空き家倒壊のリスクとは?適切な管理で危険を回避

大型地震のニュースを聞くと、倒壊した家屋や瓦礫の山を思い浮かべる方が多いかもしれません。地震によって倒壊した家屋のなかには、放置されて老朽化した空き家も多く含まれます。地震によって空き家が倒壊すると、救助や復興のさまたげになったり、賠償責任費用が発生するなどのリスクが生じます。この記事では、地震での空き家倒壊によって、どのようなリスクやトラブルが起こるのか、リスクを避けるための管理や活用についてご紹介します。

◎地震によって空き家が倒壊しやすい理由

誰も住む人がいない空き家を放置していると、さまざまなリスクが生じます。そのなかでも、被害や損害が大きくなりやすいリスクが、地震や台風などの災害による倒壊です。日本は地震大国といわれており、いつでもどこでも大きな地震が起きる可能性があります。これまで起きた地震でも、倒壊した建物の何割かが空き家というニュースが度々報じられています。空き家は、ほかの建物と比べて地震によって倒壊しやすいといえる理由があります。理由のひとつは、空き家を放置していると老朽化が進みやすいという点です。建物は、空気の入れ替えや清掃などを行わないと湿気が溜まります。とくに日本に多い木造住宅では、湿気によって柱や壁、天井などが老朽化しやすく、建物の強度が弱まります。そのような老朽化により、地震の揺れで損傷する危険性が高いといえます。

また別の理由として、建物が建てられたときの耐震基準が関係します。昭和56年より前に建設された建物は、古い耐震基準で建てられています。旧耐震基準では、震度5程度の地震に耐えられるレベルが求められており、震度6以上の地震には基準がありませんでした。昭和56年6月以降に適用されている新耐震基準では、震度5程度の地震でほとんど被害を受けないレベル、震度6から7の大きな地震でも倒壊しないレベルが求められています。そのため、旧耐震基準で建てられた築年数の古い建物は、地震に弱い構造の可能性が高いといえます。空き家の多くは、旧耐震基準のときに建てられたものなので、地震によって倒壊する危険性が高くなるのです。このような築年数の古い空き家は、倒壊の危険がある特定空家として認定され、行政から指導や勧告を受ける場合もあります。

◎地震による倒壊で被害を増大させるリスク

地震による倒壊で被害を増大させるリスク

地震が発生すると、家具や建物の損傷による人的被害、火災や津波が起きるなど、さまざまな被害が生じます。放置している空き家が、地震による被害を増大させてしまうことのないよう、リスクを最小限におさえましょう。

〇倒壊による人的被害や物理的被害

老朽化した空き家は、地震の揺れによって瓦が落ちたり、壁が崩れるなどの損傷が発生しやすくなります。そのような損傷が起きると、建材が人に当たって怪我をさせてしまったり、命を奪ってしまうという状況も起きかねません。また、人に被害をもたらさなくても、車や建物に当たれば近隣の人の資産に被害を与えてしまいます。放置していた空き家が地震によって近隣の人に危険を及ぼし、人的被害や物理的被害を与えることのないよう、注意が必要です。

〇避難路がふさがれる

地震によって家屋が倒れると、周辺の道路に瓦礫が散らばって道路をふさいでしまうというリスクも生じます。そのような状況になると車が通れなくなり、徒歩でも乗り越えるのは危険が伴います。地震発生後の救助や復旧の際にも、通行のさまたげとなるでしょう。また地震による二次災害として火災が発生する場合も多く、避難路がふさがれると逃げ遅れや延焼にもつながります。避難路がふさがれて、近隣住民が避難できなくなるような事態は、できるだけ避けたいリスクです。

〇復興のさまたげとなる

地震の被災地では、倒れた空き家の処理に時間がかかり、復興のさまたげとなるケースが多くあるようです。空き家は私有財産になるため、原則的に所有者の同意がないと解体や処理ができません。また所有者が亡くなっていて相続の手続きをしていない場合、相続人すべての同意が必要です。そのため所有者がわからない空き家は、管理人を選定し処分をまかせる制度なども活用されています。しかし、空き家の処理手続きなどに時間がかかると、瓦礫の山をそのまま放置せざるをえないため、地震の復興自体のさまたげとなってしまいます。

◎地震倒壊による費用やトラブルのリスク

地震倒壊による費用やトラブルのリスク

空き家を放置していると、地震倒壊による被害リスクだけでなく、瓦礫の処理や近隣住民への賠償のための費用が発生するリスクをもたらす場合があります。また近隣住民とのトラブルにつながるケースもあるため注意が必要です。

〇解体や修理の費用負担

一般的な地震保険は、人が住んでいる建物を対象としているため、空き家は保険の対象になりません。そのため地震によって倒壊した建物に保険が適用されない場合、瓦礫の撤去や処分、取り壊しなどの費用を負担する必要があります。完全に倒壊していない場合、瓦礫の処理だけでなく解体する費用も発生するため、負担額が高額になる可能性があります。半壊や全壊にはならなかった場合も、リフォーム費用の負担が必要です。

〇損害賠償責任の費用負担

地震による倒壊で、人的被害や物理的被害をもたらした場合、空き家の所有者が損害賠償費用を負担する必要があります。物理的被害では、建物や家財の損害賠償、解体や処分の費用負担などが発生します。また怪我をさせてしまったり、万が一死亡させてしまうようなことがあれば、費用負担は高額となります。

〇資産価値が下がる

空き家をリフォームして建物の強度を高めておけば、地震の揺れにも耐えて、そのまま資産として活用できた可能性があります。損傷があっても少しの修理をして、誰かが住んだり賃貸として貸し出すことなどもできたかもしれません。地震によって建物が倒壊してしまうと、資産としての活用が難しくなります。修理するための費用を負担できない場合、損傷したまま不良資産となってしまうこともあるでしょう。

〇近隣住民とのトラブル

地震によって倒壊した空き家は、解体や処理のための手続きに時間がかかる場合があります。瓦礫が近隣住民の敷地内に侵入していたり建物を傷つけていても、手続きが完了するまでは処理できません。そのような状況によって近隣住居の再建をさまたげ、トラブルにつながる場合もあります。また景観を損ねるため、近隣の不動産価値を低下させたり、治安を悪化させてしまう可能性もあります。

◎地震による倒壊を防ぐための対策

地震による倒壊を防ぐための対策

地震によって空き家が倒壊すると、さまざまなリスクが生じます。このようなリスクを防ぐためには、事前に対策をしておくことが大切です。まず、旧耐震基準で建てられている築年数の古い建物であれば、リフォームして建物の強度を高めましょう。建物の強度や劣化状況を調査する耐震診断を受けるなら、修理や補強が必要かどうかチェックできます。調査によって改修が必要な箇所がわかったら、耐震補強工事を行ってください。築年数の古い建物の耐震補強工事は、行政から補助金が出る場合もあります。

空き家が老朽化していると、安全面や維持費の問題が発生しやすくなります。とくに耐震性が不十分な建物では、地震時の倒壊リスクが高まり、周囲にも影響を及ぼす可能性があるため、早めの対策が求められます。ひとつの選択肢として解体を検討することで、倒壊の心配がなくなるだけでなく、維持費や管理の手間を減らすことができます。更地にすることで新たな活用が可能になったり、売却の選択肢が広がるといったメリットもうまれるでしょう。また、自治体によっては解体費用に対する補助金が利用できる場合もあるため、費用負担を軽減することが可能です。

しかし、すぐに解体を決断できないときや、建物を残しておきたい場合には、空き家を適切に管理することが重要になります。建物の状態を維持するためには、定期的に訪問し、空気の入れ替えや清掃、水漏れのチェックを行うほか、亀裂やひび割れがないか、壁や屋根、ブロック塀が劣化していないかを点検し、必要に応じて補修を行うことが必要です。これらの管理作業を専門業者に依頼することも可能で、負担を軽減しながら建物の安全性を保つことができます。空き家の状態を適切に保つことで、将来的な活用や売却、解体の計画を柔軟に進められるようになります。

◎東京都や神奈川県エリアの「横浜ゼロ空き家管理」

東京都や神奈川県エリアの「横浜ゼロ空き家管理」

横浜ゼロ空き家管理では、横浜を中心に東京都や神奈川県にある空き家の管理サービスを承っております。建物の状態や所有者の状況に合わせて、訪問頻度やサービス内容を選べます。屋外の管理では、外壁や鉄部の劣化状況を点検して補修が必要な箇所がないか確認したり、掃き掃除やゴミ回収などを行います。

室内の管理では、換気や通水、清掃などを行い、水漏れやカビの発生がない確認し、災害時の損傷にも耐えられるよう建物の劣化を防ぎます。また、震度5弱以上の地震が発生した緊急時には、無料の巡回点検を行っています。地震によって建物に損傷が発生していないかなどの状況を確認できるため、遠くに住んでいてすぐに見回りに行けない場合でも安心です。

◎まとめ

放置されて老朽化していたり、旧耐震基準で建てられた空き家は、地震によって倒壊する恐れがあります。倒壊すると、人や建物に危害を与えたり、解体まで時間がかかって復興のさまたげになるなど、さまざまなリスクが生じます。地震による損傷を防ぐためには、あらかじめ耐震補強工事を行うなどの対策が必要です。また、空き家を適切に管理して老朽化させないようにするなら、建物の状態を保ち地震によるリスクを軽減できます。