2025-03-26 空き家の価値を守る!ゴミの不法投棄を防ぐ対策とは

◎不法投棄の定義と罰則
不法投棄とは、ゴミを適切に処理せず空き地や山林、道路などに捨てる行為のことです。「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)」で厳しく禁止されており、犯罪行為に該当します。ゴミの種類は多岐に渡り、個人の生活や娯楽で消費されたゴミとしては、ペットボトルや生ゴミなどの家庭ゴミ、家具や家電といった粗大ゴミなどの一般廃棄物が多いです。法人の場合、がれき・木くず・廃プラスチックなど建築現場から排出されるゴミから、廃油や化学薬品など工場や事業所事業活動から排出される産業廃棄物まで多岐に渡ります。不法投棄には、山林や河川沿いにゴミを捨てる行為や、収集日以外に集積所にゴミを出したり、家電リサイクル品など通常のゴミ収集の対象ではないものを出すなどの行為が含まれます。またゴミを適切に分別せずに捨てたり、継続的に多量のゴミを排出し周辺環境に悪影響を与える、空き地や道路沿いに不法にゴミを埋める行為なども不法投棄の種類です。とくに空き家では、敷地内にゴミを投げ込んだり建物内部へ侵入してゴミを放置するなど、空き家を利用した組織的な不法投棄が行われている場合もあります。
ゴミの不法投棄には、非常に厳しい罰則が定められています。廃棄物処理法の第25条および第32条にもとづいて、個人は5年以下の懲役または1,000万円以下の罰金、もしくはこの両方が科される可能性があります。法人であれば、3億円以下の罰金が科せられる場合もあります。法人では、業務に関連して代表者や従業員がゴミの不法投棄を行った場合でも、法人に対して罰則が適用されるのが現状です。ゴミの不法投棄は深刻な環境問題を引き起こし、地域社会の景観や治安にも悪影響を与える犯罪行為であり、未遂であっても同様の罰則の対象となります。不法投棄を目的とした廃棄物の収集または運搬を行った場合でも、3年以下の懲役または300万円以下の罰金が科せられる決まりです。他人の土地や公共の場にゴミを捨てることはもちろん、自分の土地であっても適切な許可を得ずにゴミを埋める行為も罰則の適応対象となります。
(参考:廃棄物の処理及び清掃に関する法律 https://laws.e-gov.go.jp/law/345AC0000000137/)
◎空き家への不法投棄の原因

近年、空き家への不法投棄の件数は増加傾向にあり、近隣住民をはじめ地域社会において深刻な問題となっています。適切に管理されていない空き家は、ゴミを不法投棄されるリスクが高くなり、地域社会や環境に多大な影響を及ぼします。多くの場合は、小規模なゴミの投棄からはじまります。しかし、そのまま放置されると外部からゴミが見えるため「ここはゴミを捨ててもよい場所」と認識されてしまい、さらにゴミを不法投棄されるという悪循環に陥ります。多くのゴミが空き家の敷地内に山積みの状態になり、やがて「ゴミ屋敷」と呼ばれるようになると、地域の景観を損ねるだけでなく、悪臭を放って衛生状態の悪化にもつながります。
空き家の管理が行き届いていない状態は、人の行き来がないことが周囲に明らかになるため、不法投棄の原因になります。適切な管理が行われていないと、庭の草木が伸び放題になっていたりポストにチラシや郵便物がたまってしまいます。また、外壁が傷んで窓ガラスが割れていたり、雨戸やカーテンが締め切られたままになっていることも多いです。建物は老朽化して、コケやカビの発生、塗装のはがれ、屋根瓦の破損やずれ、サッシの錆びや腐食、扉の歪みなども目立つようになります。このような状態によってゴミが不法投棄され、それが長期間放置されたままになっていると、さらに管理が行き届いていない事実を周囲に知らせることになるのです。
また、空き家が人通りの少ない場所や周囲に建物が少ない場所にあると、ゴミの不法投棄が行われやすくなります。とくに高台や袋小路の奥、樹木に囲まれた場所などの人目につきにくい立地にある空き家は、長期にわたり気付かれないことが多いです。人目につきにくいため、投棄者が見つかるリスクが低いと感じ、ゴミを捨てることへの罪悪感や心理的抵抗が薄くなる傾向があります。空き家にゴミを捨てる投棄者は、人目につくことを避けて「誰も見ていない」という心理から行動に移すことが多いとされています。人の住んでいない空き家のゴミは他人に気付かれにくく、投棄者にとって「安全にゴミの不法投棄ができる場所」という認識を与えます。このような考え方は、軽微な犯罪が放置されることで、より深刻な犯罪が誘発されるという「割れ窓理論」と呼ばれる考え方にもとづくものです。空き家にすでに捨てられているゴミが目立つと、ほかの人も捨てることに対する抵抗感が薄れ、結果的にターゲットにされてしまうことになります。
◎不法投棄がもたらす影響とリスク

空き家に捨てられたゴミは腐敗し悪臭を放ち、周囲の衛生環境を悪化させます。ゴミの中に含まれる有害物質が土壌に浸透して農作物や植物の生育に悪影響を及ぼし、近隣の農業生産性が低下する危険性があるのです。ゴミが雨水で流されると、河川や地下水に混入して水質を悪化させ、井戸水や飲料水の安全性が脅かされ、動植物に影響が生じる場合もあります。また、有害で危険なゴミの放置は火災の原因となったり、害虫・害獣による感染症やアレルギー、悪臭などにより住民の健康を脅かしかねません。ゴミが散乱すれば住民の生活環境が悪化し、地域住民とのトラブルが発生する恐れもあります。
ゴミの不法投棄により空き家の周囲が汚染されると、目に見えて目立つようになるのが建物の劣化です。とくにカビやシロアリが発生すると、建物の構造に深刻な影響を与えてしまいます。空き家のゴミの放置は、周囲の美観を著しく低下させるため、地域全体のイメージ低下も避けられません。将来的に売却や賃貸を検討する際、このような物件や周辺環境の悪化により、潜在的な居住者はこの地域の物件を選択肢から外します。結果として地域全体の資産価値が大きく低下し、売却しても売れなかったり、賃貸に出しても借り手が見つからない可能性が高くなります。売却や賃貸ができたとしても、売却価格や賃貸価格が低くなるかもしれません。
ゴミの投棄者がわからない場合、空き家の所有者がゴミの撤去や清掃に対して法的責任を負う場合があるというリスクもあります。直接捨てていなくても、ゴミを放置していたことで行政からの指導や罰則が課せられる可能性もあります。ゴミの不法投棄が続くと「特定空き家」として認定される場合もあります。特定空き家とは、1年以上誰も住んでいない状態で適切な管理がされていない空き家のことで、「空き家等対策の推進に関する特別措置法」にもとづき認定が行われます。特定空き家に認定されると、固定資産税が最大で6倍、都市計画税も最大で2倍に増加する可能性もあります。さらに、ゴミが不法投棄されている空き家は、犯罪者にとって狙いやすい場所になり、不法侵入や放火などの犯罪が発生するリスクも高まります。不法投棄は単なるゴミの問題だけではなく、地域全体に悪影響を及ぼすため、適切な管理と対策が求められます。
(参考:空き家等対策の推進に関する特別措置法 https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/sumai-kurashi/jutaku/sien/akiya/)
◎空き家への不法投棄を未然に防ぐための対策

空き家への不法投棄を未然に防ぐためには、適切な管理や清掃、防犯対策、地域との連携などが不可欠です。そのような対策を講じれば、空き家が不法投棄のターゲットになりにくくなります。
〇定期的な管理と清掃
庭の雑草や庭木の剪定などを行って外観を整えるなら、空き家でも放置されていないことを示せます。またポストに投函された手紙やチラシを定期的に回収すれば、無人である印象を与えにくいです。空き家を定期的に管理して清掃を行って、周囲に「きちんと管理されている物件」という印象を与えるなら、不法投棄を防げます。
〇セキュリティ対策
セキュリティ対策として防犯カメラを死角の少ない場所に設置するという対策も行えます。投棄者は行動を監視されていることを認識すると、空き家に近付いたり不法投棄するのをためらう傾向があります。万が一、空き家で不法投棄が発生した場合も映像が重要な証拠として残せるので安心です。
〇フェンスや柵などの設置
空き家の敷地にフェンスや柵を設置すれば、物理的に不法投棄が難しくなります。とくに、高さのあるフェンスや柵は、大型ゴミの不法投棄を防ぐのに効果的です。また「防犯カメラ作動中」などと警告文が書かれた看板を目立つ場所に掲示すれば、投棄者に対して抑止力を高められます。
〇地域コミュニティや行政との連携
日頃から地域のコミュニティに参加して地域住民と良好な関係を築き、情報が共有できるようにしておけば、不審者や不法投棄を見かけた際にも情報を得やすくなります。万一、不法投棄が発生した場合には、速やかに警察や自治体に通報することが大切です。自治体によっては不法投棄の監視や撤去支援などのサポートを提供しているところがあります。早めに空き家対策窓口に相談し、支援制度を活用することを検討しましょう。
(横浜市 空き家対策 https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/sumai-kurashi/jutaku/sien/akiya/)
◎適切な空き家の管理なら「横浜ゼロ空き家管理」

横浜ゼロ空き家管理では、横浜を中心に東京都や神奈川県にある空き家の管理サービスを提供しています。ゴミの不法投棄を未然に防ぐために効果的な、屋外と屋内の管理作業を行っており、所有者の状況に応じて訪問頻度やサービス内容を選べます。屋外では外壁の劣化状況の点検や玄関周りの簡単な清掃、草抜き、ゴミ回収などを行い、外観が管理された状態を保ちます。
屋内では換気や通水を行い、雨漏りのあとやカビの発生などの損傷がないかを点検したり、侵入者の形跡や全居室の施錠確認、清掃など全ての作業を自社スタッフが行います。横浜ゼロ空き家管理では、不法投棄対策に最適な空き家管理だけでなく、その後の売却や賃貸、リフォームなどのご相談にも幅広く対応しています。
◎まとめ
空き家におけるゴミの不法投棄は、地域社会にも影響を及ぼします。不法投棄をそのまま放置すれば、さらなる不法投棄や景観の悪化による近隣トラブルなどにもつながるため、早期に対応する必要があります。しばらく活用する予定のない空き家でも、適切に管理しておくなら不法投棄のリスクをおさえられます。ご自身での管理が難しい場合など、空き家管理サービスに関するご相談は、横浜ゼロ空き家管理までお気軽にお問い合わせください。